教室の考え方
作ることで、聴こえる世界を広げる。
音楽を、もっと深く味わえるようになる。
コンピュータ音楽を作ることを通して、これまで聴こえていなかったものに気づき、音や音楽を味わう力を育てます。
コンピュータを、曲を作る道具としても、音の仕組みを確かめる実験室としても使います。音色やリズム、響きや空間を自分で変え、その違いを聴きながら、音楽の仕組みと自分の感じ方を学んでいきます。
対象は、音楽制作ができるようになりたい人だけではありません。音を味わう力を育てたい人のための教室です。
制作技術を身につけることと、鑑賞能力を育てることを分けず、作る楽しさと聴く楽しさの両方を育てます。
音楽を作ることを通して、音楽との関係そのものを豊かにします。
一人ひとりが音を探り、聴き方や楽しみ方が広がる音楽が生まれる世界
多くの人に認められる形や、すでに良さがわかっているものを再現することだけが、音楽の行き先ではないと考えています。
まだ良さを説明できない音や、既存の評価では拾われない音にも踏み込み、自分たちで面白さを発見していきたい。
一人ひとりの身体感覚やこだわりが、生々しく表れた音に出会うことで、それまでの「好き」「美しい」「音楽らしい」という感覚まで揺さぶられる。音楽を、期待どおりの心地よさを与えてくれるものとしてだけでなく、自分の感じ方が変わってしまうような出会いとしても大切にしたいと考えています。
自分が見つけた音の面白さを持ち寄り、誰かの音や聴き方に触れて、また新しいことを試してみる。作る人も、聴くことを楽しむ人も、その発見に関わっていける。
一人ひとりが音で遊び、ともに発見することから、まだ知らなかった音楽と楽しみ方が生まれ、音楽がもっと多様になっていく世界を目指します。
大切にすること
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作ることと、聴くことを分けない
音色を変えて聴き比べたり、リズムを組み替えて感じ方の違いを確かめたりしながら、音楽を学びます。
自分で響きや空間を作った経験を手がかりに、好きな曲をもう一度聴いてみます。聴いて見つけた工夫や面白さは、次に作る音に生かしていきます。
作ることで聴き方を広げ、聴くことで作り方を探ります。
操作を覚えるだけでも、知識を増やすだけでもなく、実際に音を作り、聴き直すことを、学びの中心に置きます。
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自分の耳で確かめ、選び、手を加える
音の仕組みや技法を学びながら、「何を変えると、どう聴こえるのか」を実際に試します。知識や理論を、音を聴くとき、作るときの具体的な手がかりにしていきます。
どこが面白いのか、何に違和感があるのか、何を残し、どこを変えたいのか。音に触れながら、自分なりの判断を重ねます。
AIを含め、どんな道具を使っても、自分で聴き、確かめ、選び、必要に応じて手を加える過程を大切にします。
「どんな音なら評価されるか」だけから考えるのではなく、「自分は何を聴き、何を面白いと感じたか」を出発点にします。
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しっくりくる音も、しっくりこない音も探る
どちらの響きが好きか、どんなリズムが心地よいか、どのくらいの音数や余白がしっくりくるか。小さな選択を繰り返し、自分の好みや感じ方を知っていきます。
その一方で、しっくりこないのに気になる音や、すぐには良さがわからない音にも、少し時間をかけて付き合ってみます。
いまの好みを確かめることと、その好みが変わるような音に出会うことを、どちらも大切にします。
珍しさや難しさを目指す必要はありません。うまく説明できない段階でも、自分が気になった音を、すぐに正解や不正解に分けずに探っていきます。
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小さな発見も、学びの成果にする
曲の完成や操作の習得だけでなく、以前より、音楽から受け取れる情報が増えることも、大切な成果と考えます。
今まで気づかなかった音を見つけたり、リズムや響き、音色、空間の違いを感じ取れたりすること。「なんとなく好き」だった曲の、どこに惹かれているのかが少しわかること。そうした聴き方の変化にも目を向けます。
また、完成した作品だけでなく、作っている途中の試行錯誤や、思いがけず面白い音ができた瞬間も大切にします。何ができるかわからないまま試す時間にも、学びがあると考えています。
知識や聴き分けの正確さだけを目的にせず、音楽を作る時間も、いつもの音楽を聴く時間も、前より面白くなることを大切にします。
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「音楽が好き」から、ともに探検する
作曲家を目指していなくても、楽器や音楽制作の経験がなくても、入り口は「音楽が好き」でかまいません。
好きな曲をもっと深く聴きたい、自分でも音を作ってみたいという、一人ひとりの興味や疑問を出発点にします。
作曲、音作り、録音、音響実験、耳のトレーニングは、そのための方法です。デジタル・ソルフェージュも、音を味わう感覚と音を操作する能力をつなぐ方法の一つとして取り入れます。
講師が知っている面白さを伝えるだけでなく、生徒が見つけた音や聴き方からも、一緒に学びます。同じ音を聴いても感じ方が違うことを、互いの発見を広げるきっかけにします。
一つの正解へ導くのではなく、一人では見つからなかった音の面白さを、ともに探っていきます。
この教室に込めている思い
自分も音を探りたいし、その発見を誰かと交わしたい。その活動を仕事として成立させたい。
私がこの教室をやりたい理由は、まずそこにあります。
音楽の仕組みや制作の技術を教えるだけでなく、私自身も、まだ知らない音や面白さに出会いたいと思っています。生徒が試した音から、自分にはなかった作り方を知る。同じ曲について話すなかで、それまで気づかなかった聴き方を教わる。そんなふうに、発見を交わす場にしたいと考えています。
自分にしっくりくる音を見つけることも、しっくりこないのに気になってしまう音を探ることも大切にしたい。すぐに良さを説明できなくても、試してみる。誰かと聴いてみる。そのやりとりから、お互いの「好き」や「音楽らしい」という感覚まで変わるようなことが起きてほしいと思っています。
もちろん、私が面白いだけでは、教室にはなりません。講師として、一人ひとりの興味や疑問に合わせて、必要な知識や技術を伝え、試行錯誤を支えます。作りたかった音に近づけたり、好きな曲が以前より深く聴こえたりする。受講する人にとって、ここで学ぶ意味のある時間をつくりたいと考えています。
自分が続けたい音の探究を、誰かにとっても価値のある学びにする。その重なりを、仕事として育てていきたい。
教える立場として学びを支えながら、自分も探り続ける。そして、それぞれの発見から、一人では出会えなかった音楽が生まれる。そんな教室を目指しています。